トビムシが精包授受のときにみせる儀式的な行動とメスの精包に対する異なる対応

(13.1MB, 00:02:50)
撮影日:2002/05/31
撮影場所:ポーランド,ワルシャワ
* 種類
Deuterosminthurus bicinctus (Collembola: Bourletiellidae)

キーワード
トビムシ
Deuterosminthurus bicinctus
配偶
精包の授受
性的対立


Marek W. Kozlowski and Shi Aoxiang
2005/09/21登録


動物界 >節足動物門 >昆虫綱 >トビムシ目 >Bourletiellidae >Deuterosminthurus >

トビムシは交尾をするのではなく、オスが精包を下に置き、メスが自分でそれを拾い上げると言う形で精子を受け渡す。この映像は、トビムシの一種Deuterosminthurusbicinctus (Sminthuridae = Bourletiellinae) が精子の受け渡しの前に雌雄で見せる儀式的行動を記録している。この行動をみると,雌雄は出会い時にはワルツ、その後にチャチャを踊っているようにみえる。この儀式の間に、雌雄はそれぞれ精包受け渡しの準備をするのである。この受け渡しの儀式には、メスが下に置かれた精包にうまく反応できるかどうかわからないところから生じるドラマがある。実は多くの場合、メスはオスからの刺激に対して「正しく」(つまり生殖口で)精包を受け取らずに、がつがつと食べてしまうのである。この映像はツリフネソウの一種Impatiens minorの葉の上のトビムシの行動を実体顕微鏡を通してS-VHSで録画したものから選んだものである。SONY DCR 900Eを用いてデジタル化し、MacintoshのiMovie上で編集している。

以下がこの映像を用いた論文の要旨の日本語訳である。

トビムシの一種Deuterosminthurus bicinctus (Collembola: Bourletiellidae)の精包授受に見られる儀式的行動
Marek Wojciech Kozlowski and Shi Aoxiang
J Ethol (in press) DOI 10.1007/s10164-005-0162-6

トビムシの一種Deuterosminthurus bicinctusは、 Bourletiellidaeの他の種と同様に、触覚、脚、頭部を用いて配偶相手のメスを独占し、刺激し、精包に向かわせる。この種の配偶行動を寄主植物の葉上で撮影したビデオを解析する事で調べた。精子授受に向かう一連の行動は、典型的には以下のような段階を示す。(1)予備的求愛、オ
ス(稀にメス)が配偶相手を求愛行動に仕向ける。持続時間と強度に大きな変異がある。(2)儀式的押し合い行動、雌雄が頭を向き合わせて、きっちりとしたリズミカルなダンスを踊る。これには時々180度の回転と、(3)オスの自由な回転、が挟まり(4)メスの前にオスが精包を置く事、で終わる。オスはその後精包の上を歩く事でメス
を刺激する。(5)メスは生殖口で精包を拾い上げるか、(6)精包を食べてしまう。これは観察したペアの29%で生じた。(7)配偶行動は、両者が精包の残りを食べようと競争する事で終わるが,これは多くの場合メスが勝利する。精包が受け渡された場合と食べられた場合で配偶行動の要素と参加個体の形態的特徴を比較したが、実質的な違いは何も見られなかった。これは、メスの動機付け(飢餓状態、受精の状況)が精子の受け渡しにおけるオスの成功に重要である事を示しているのかもしれない。デジタルビデオ映像はhttp://www.momo-p.com/showdetail-e.php?movieid=momo040414db01aで見る事が出来る(訳:データベース運営委員会)

(データ番号:momo040414db01a)

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