リクライニング型によってオオヒメグモを攻撃するマダラコブクモヒメバチ
(1.9MB, 00:00:12)撮影日:2009/11/04
撮影場所:Ehime University
髙須賀圭三
(Takasuka Keizo)
2011/02/21登録
種類:Zatypota albicoxa
キーワード:粘球 イミテーション 立体的不規則網 クモヒメバチ 縦糸
動物界 >節足動物門 >昆虫綱 >膜翅目 >ヒメバチ科 >Zatypota >
リクライニング型(reclining-style)によってオオヒメグモを攻撃するマダラコブクモヒメバチの記録です。オオヒメグモParasteatoda tepidariorum(ヒメグモ科)の網は、無数にある捕虫用の粘球つき縦糸によって立体的な不規則網を成します。メスバチは縦糸の下端に動かずにもたれ掛かり、寄主クモをおびき寄せます。最終的におびき寄せられたクモは、ハチがもたれている縦糸を伝って降り、捕虫しようとメスに向かって粘着糸を投げつけますが、メスはその接近を利用してクモに襲い掛かり麻酔します。
本動画が含まれる論文の要旨は下記のとおりです。
Lying on the dorsum: unique host-attacking behaviour of Zatypota albicoxa (Hymenoptera, Ichneumonidae)
Keizo Takasuka, Rikio Matsumoto Journal of Ethology (in press) doi:10.1007/s10164-010-0263-8
立体的な不規則網を張るオオヒメグモ Parasteatoda tepidariorumに寄生するマダラコブクモヒメバチ Zatypota albicoxa独自の寄主クモおびき寄せ行動が初めて明らかになりました。1頭のメスバチは地面に仰向けになったまま、脚で粘球つきの縦糸の一本を掴み、続いて網にかかってもがく獲物のように糸を脚でつつきます (reclining-style)。この行動は既知の待ち伏せ型(ambush-style)の類のようにも見えますが、メスが網の下を徘徊する点、粘球を直接触る点、そして地面に横たわる点で極めてユニークと考えられます。これらの3つの行動は、網にかかった徘徊性無翅昆虫の動きに似ており、複雑な網の奥に隠れた寄主クモを攻撃するための適応と言えます。メスバチは粘球を直接触っていたことから、粘球にかからないための行動的あるいは形態的な機構を獲得していることが示唆されます。